このページでは、タンパク質の粒子径の分析のアプリケーションをご紹介します。
タンパク質は、アミノ酸が連結した鎖状の構造の分子ですが、周辺の環境によって、球状構造を取ったり、タンパク質同士が会合してダイマーやヘテロマーを形成する場合があります。直径数ナノの粒子の粒子径を測定するためには、分解能の高い分析手法が必要になります。
Nicomp DLS システム
高分解能DLS(動的光散乱)システムNicomp N3000は、最少0.5nmからの粒子径の測定を可能にしたDLSです。独自の分析アルゴリズム、多角度検出器の搭載などにより、数nmから十数nmの近接した粒子径を持つ粒子の分離を可能にしています。
タンパク質の粒子径のみならず、安定性の測定や、会合の測定をも可能とします。
弊社ではアプリケーションノートも用意しておりますので、ご興味のある方は是非ご覧ください。日本語版は弊社までお問い合わせください。
測定事例1
この測定結果(左図)はタンパク質溶液として、IgG(免疫グロブリン)を1%リン酸緩衝液に溶解して、Nicomp N3000で測定したものです。
グラフの横軸はサイズ(nm)縦軸は、強度を表します。この測定では、粒子径、約8nm近辺と、16nm近辺にピークが見られます。
通常のDLSでこのタンパク質を測定すると、粒子径10nm近辺にブロードなピークが見られるだけですが、Nicompであれば、近接した2つのピークを分離することができます。
測定事例2
これらの図は、タンパク質溶液として、アルブミン(BSA)を溶解してフィルタリングして、Nicomp DLS で測定したものです。2枚の図は、同じロットのBAS(分子量69,000Da程度)を同じ濃度に希釈して測定したものですが、左の図はBSAを水で、右の図はBSAをリン酸緩衝液で希釈してDLSで測定したものです。
左の図では、粒子径のメインピークが6nm程度にあり、もっと大きな40nm付近に凝集体のピークが見られます。
右の図は、粒子径のメインピークが10nm程度まで大きくなり、さらに凝集体とみられるピーク強度も強くなっています。タンパク質の安定性には、タンパク質が存在する環境が重要なファクターとなることが判ります。